立春を目前に、梅の花が咲き始めました。わずかながら暖かくなり、季節は確実に春へ向かっていると感じられる今日のよき日に、こうして「少年の日」を迎えられた6人の8年生の皆さんと御家族の皆様方に心からお祝い申し上げます。
沙月(さつき)さん、優星(ゆうせい)さん、葉月(はづき)さん、笑美(えみ)さん、愛結(あゆ)さん、美月(みつき)さん 少年の日おめでとうございます。今日の式に向けて、皆さんが書いた「少年式記念文集」を読んだり、美術作品を見させていただいたりしました。自分を見つめ、将来を見据え、十四歳の自分は今、どうあるべきか、どういう生き方をしなければならないかを必死に考えようとしているみなさんを、とても頼もしく感じました。思春期と呼ばれるこの時期を懸命に生きながら、着実に成長していることもよく分かりました。
さて、日浦小中学校には、心の軌跡というポートフォリオがあります。私は、以前にも興味があって読ませていただいたことがありました。今回、このような記念すべき少年の日を迎え、もう一度、じっくりと目を通してみました。
最初のページには、小学校1年生に入学したときの新鮮で不安と期待の入り混じった何とも表現できない気持ち。次は、2年生に進級し、新入生からお兄さんお姉さんとして認められる嬉しさと戸惑いの感情。3年生となり、社会や理科の学習が始まって、2階の教室に上がるだけで背伸びを感じた気分。4年生では、徐々に学習が難しくなってきたのを感じ、家庭での学習をおろそかにできないと悟った反省。高学年となった5年生では、自然の家で宿泊し活動を通して友達と語り合った思い出。そして、6年生として最高学年となり、学校をリードする立場となり始めて痛感した責任感という心情。さらに、この日浦中学校に入学し、小学校のころとは違った教科の学びの面白さと難しさを積み重ねてきた思い。そして、今日まで、自分の生き方を模索し、卒業後の進路についてまで思いを巡らせてきた日々。それらの8年間の成長の跡が、まるでドラマのように私の脳裏に思い浮かびました。
その軌跡の一つひとつが、皆さん自身の努力と周囲の支えによって築かれてきたことを思うと、心が熱くなります。例えば、運動会で全力を尽くして仲間とともに全校リレーに挑んだ瞬間や、多くの観衆の前で緊張しつつ箏の演奏に取り組んだ連合音楽会、さらには全小中学生全員で取り組み襷をつないで達成感を味わった日浦駅伝。それぞれの経験は、楽しい思い出としてだけでなく、仲間との信頼や責任感、そして努力することの大切さを教えてくれたはずです。この「心の軌跡」というポートフォリオは、「心の奇跡」とも言うべき、6人全員のかけがえのない奇跡的な成長の歴史とも言えるのではないでしょうか。
そのような皆さんに、歴史上の人物である坂本龍馬のエピソードを紹介いたします。龍馬は「世の人は我を何とも言わば言え、我が成すことは我のみぞ知る」と言い、周囲の評価や批判に惑わされず、自分が信じる道を突き進みました。彼が夢見た新しい日本を作るという志は、時代の壁を乗り越え、今日の私たちに大きな影響を与えています。皆さんも、自分の信じる夢や目標に向かって突き進む勇気を持ち続けてください。そして、世界でただ一つの特別なストーリーが生まれることを、心の底から強く願っています。
今日の「少年式」が、8年生にとってのよき「節目」となることを大いに期待しています。そして、御家族や先生たちはもちろん、「日浦」でつながる多くの人が、6人の成長と幸せな未来、そして新たな「奇跡」を生み出していくことを、心から応援していることをお伝えして、少年式の式辞といたします。